発行元:株式会社医療経営
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今月のトピックス
サバイバル時代に突入する医療業界に勝つ

池田 宣康

今月の視点:院長のストレスを軽減、診療所の事務作業効率化の検討  

今月の“キーマンに訊く“では、特定社会保険労務士の秋元氏に「ベースアップ評価料の実務対応」について解説していただきました。

 

 スタッフにとっては給与が上がる良い機会であり、多くの事務方が従事している病院では申請が進んでいます。 その一方で、計算などに手間がかかることから、診療所では申請を見合わせているところが多いようです。

 

 10年前、20年前と比較すると、診療所においても事務処理が増加かつ複雑化してきており、他医療機関との連携による事務、マイナポータルへの対応などデジタル化の推進作業、その他種々の雑用まで含めて、事務作業量は増加の一途をたどっています。しかし事務専門のスタッフを雇用している診療所が少ない現状では、増加する事務作業が負担となり、ストレスを抱える院長も決して少なくないと思われます。

 

 特に患者数が多く、院長以下スタッフが常に業務に追われている診療所では、患者対応にできるだけ多くの時間を割くためにも、事務作業の効率化は必須の課題と言えるでしょう。

 

 事務作業をその場その場で何とか処理していも、作業量が増え続けるとどこかの時点で立ち行かなくなります。そこで事務の効率化を計画的にアプローチするための具体的なステップとして以下にまとめてみました。

 

1)いま院長が行っている事務作業を書き出す

2)書き出した作業の中で、院長ではなくても行える作業を抽出する

3)抽出した作業ボリュームを確認し、人や機器に任せるべきか検討

4)専用事務員の養成を検討

  事務作業量が多い場合、一般的な医療事務よりも幅広く対応できる

  専用事務員を院内で養成することを検討します。

5)業務手順の文書化とマニュアル作成

  全作業について、ひととおり効率的な業務が仕組み化できたところで

  各業務の手順を文書化し、業務マニュアルを作成することで、誰でも  

  同じ手順で作業を行えるように構築する

 

 もし、専用事務員の養成が難しい場合、事務代行会社を活用してもよいですし、期間限定で事務作業の仕組み作りを依頼するのも良い方法です。

 

 事務作業量が増え続ける中、院長ができる限り患者対応に専念できる環境を整えるためには、効率化が不可欠です。また同様にスタッフ業務のなかで、効率の悪いもの、毎回同じ作業をしている業務などあれば書き出すと、効率化するための気づきがあるはずです。

 

 事務処理業務を抱え込むとストレスが蓄積されます。 診療所においても、費用をある程度かけて事務作業は効率化していくことを考え始める時期に来ているように感じています。