発行元:株式会社医療経営
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今月のトピックス
サバイバル時代に突入する医療業界に勝つ

池田 宣康

今月の視点:新NISAの仕組みと全世代別の活用術の理解

10月号の「今月の視点」でもお伝えした新NISAは、2024年1月からスタートします。運用益の非課税期間がこれまでの5年から無制限、投資枠が年間360万円に拡大、総額1800万円まで運用できるようになり、投資する側にとって非常にメリットの大きい制度改正となりました。

 

新NISA       つみたて投資枠    成長投資枠

年間投資枠     120万円      240万円

非課税保有期間   無制限化       無制限化

非課税保有限度額       1800万円 「成長投資枠1200万円(最大)」

投資対象商品    投資信託       上場株式・投資信託

対象年齢      18歳以上      18歳以上

 

 

10月号では、効果的に資産形成するために意識しておくべき3つのポイントについてお伝えしました。

 

1.定額積み立て投資に徹すること

2.長期運用すること

3.インデックスファンドへ投資すること

 

現役の比較的若い世代では、この3つのポイントを守って積み立てしておけば、市場の急激な変動もすべて吸収し資産規模は年数が経つにつれ膨らんでいく可能性は非常に高いと言えます。

 

その一方で、すでに現役を退きご高齢となっている場合はどうでしょうか? 運用期間が短くなり、デメリットが生じるかもしれません。 しかし、それでも私は活用することをお薦めします。

 

理由として挙げられる1つが長生きリスクです。 それまで高額報酬を得ていたとしても現役引退すれば、多くの場合、それまでに築いた資産を取り崩して生活していくことになりますが、例えば80歳のご年齢でも人生100年時代と考えるとまだ20年もの時間があります。

 

これだけの運用期間があれば新NISAを活用しない手はないと考えています。 健康であれば、楽しみにお金を使うこともできますし、もし病気などで身体が不自由になったとしてもそれはそれでお金が必要となります。長生きすればするほどお金に働いてもらう必要があります。

 

もう1つが暦年贈与や相続に活用できることです。 祖父母、父母から18歳以上の子や孫へ贈与する場合、特例税率を使って贈与することができます。 1年で360万円の贈与であれば贈与税額は27.5万円、1年で110万円の非課税枠内であれば無税で贈与が可能です。子や孫であれば

その後の運用期間は非常に長くなります。 大きな資産形成の助けとなるでしょう。

 

相続対策にも大いに活用できます。 親がNISA口座で運用している最中に亡くなられた場合、子のNISA口座に移管することができず、お亡くなりになった時点で被相続人の課税口座に移管されます。 しかし、NISAで運用していた場合は、含み益にかかる所得税が非課税となるのです。

 

このように新NISAは年齢を問わず、幅広く活用することができる画期的な制度です。 口座開設には手間がかかり躊躇されている方もいらっしゃるかもしれませんが、できるだけ長く運用できるようにすぐ行動されることをお薦めします。