発行元:株式会社医療経営
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今月のトピックス
サバイバル時代に突入する医療業界に勝つ

池田 宣康

今月の視点:院長の参謀として「クリニック経営を成功に導く」コンサルタント像   

厚生労働省の2021年医療施設(動態)調査によると、全国の無床診療所数は、98,123施設となっており過去20年間増加傾向が続いています。 まだまだ診療所経営は他業種と比較すると安定しているとはいえ、とくに都市部では競合も増え、増患対策が必要な場面や慢性的な人手不足から人員確保や人件費の上昇に対応するなど診療以外のことに時間をとられることが多くなりました。

 

コンサルタントを顧問とするクリニックも増えてきたことから、2021年12月から3回にわたって病医院経営のコンサルタントとして40年、100を超えるコンサルティング実績をもつ佐藤勝浩氏に、増患、院内のマネジメント対策、クリニック顧問先の経営支援の実例について実務的な説明をしていただきました。

 

その佐藤氏が2023年4月から「クリニック専門参謀型コンサルタント養成講座」として、税理士、社労士、行政書士など士業の先生方向けに講座を開講し、また開業予定の勤務医師、および若手開業医師のみなさまに向けた経営講座も開講する予定です。

 

これまで佐藤氏のコンサル顧問先である院長先生とのインタビューや「クリニック専門参謀型コンサルタント養成講座」へ主催者として参加するなかで、院長先生の参謀役としてクリニックを成功に導く優秀なコンサルタント像について3つのポイントをピックアップしました。

 

1つ目は、院長先生から経営上の質問を受けた時“自分の意見が言える人であるか”ということです。 たとえば昨年よりオンライン資格確認の導入についての話題がありましたが、医療現場では患者とのやり取りに手間がかかるなどのトラブルが収まりませんし、資格確認の導入は必要なのか?と疑問に思われる院長先生が少なくないと思われます。 そんな状況で導入すべきか否かの意見が欲しいとき、医療業界や行政の動き、過去の同じような事例など鑑みながら自分の意見を言える人でなければ院長先生の参考にならないでしょう。

 

2つ目は、“責任をとれる人に相談する”ということです。 例えば、院長先生が増患対策や職員トラブルに悩んでいるとして、顧問税理士に相談をする院長先生は少なくないと思いますが、ほとんどの事務所は増患対策や職員トラブルなどは税理士業務とは関係なく、専門外のことを相談されても実務的な解決策は出せないでしょう。 また税務顧問料としての支払いだけであれば、専門外のアドバイスで責任を押し付けられたくないというのが本音です。 相応のフィーを支払い、責任をもって実務を遂行できるコンサルタントに依頼する必要があります。

 

3つ目は、“苦言を呈してくれる人であるか”ということです。

課題に対する先生の意見に対して、相槌を打つだけの人に相談しても解決策にはなりません。成功している経営者ほど、苦言を呈する人間、自分に対して耳の痛い話をする人を傍においています。人間は見たくない現実を無意識のうちに避ける傾向にありますが、経営者は「見たくない現実」を見なければ、問題は大きくなるばかりです。そして避ければ避けるほどに問題が大きくなり、姿形を変えいつまでも追かけてきます。 わざわざ苦言を呈する人は真剣に課題解決について考えていることでもあります。

 

今後、もし院長先生が経営についての課題解決のためにコンサルティングを依頼する際の選択基準として少しでも参考になれば幸いです。