今月の視点:診療所関連の個別項目からみた診療報酬改定3つのポイント
これまでの診療報酬改定は病院、次に在宅関連の項目が多くを占めていたように思います。 一方で診療所については、これまで一部の診療科に限られていた印象がありましたが、今回の改定では一般診療所に関連する個別項目だけ抽出してみると、すべての診療所に関連する項目が増えたように思えます。
その点について医療経営コンサルタントの方にいくつか質問をぶつけたところ診療所に関連する診療報酬改定の項目については、3つポイントがあるというお話をうかがうことができました。
1つ目は、診療報酬改定の主要な改定項目でも取り上げられている、外来医療の機能分化・強化等です。厚労省の説明文にも書かれている。
「特定疾患療養管理料の対象疾患から生活習慣病を除外し、療養計画書への同意や診療ガイドラインを参考にすることを要件とした出来高算定による生活習慣病管理料(Ⅱ)を新設」したことにあります。
内科系の院長先生では大きな話題となっていますが、特定疾患療養管理料の対象疾患から、生活習慣病である、脂質異常症、高血圧及び糖尿病を除外することとなり減収が避けられないとの声を多く聞きます。
2つ目が、医療DXによる連携推進です。 医療DX 推進体制整備加算の新設によって診療情報の共有などによりさらに質の高い医療を目指すというものです。オンライン資格確認の導入状況をみると、2024年3月17日時点で90%の参加率となっていますし、医療従事者の人手不足からか、オンライン診療に関する点数付けも増えてきています。連携のためにまずはデジタル化を引き続き推し進めていくということでしょうか。
3つ目が、改定主要項目の始めに挙げられている賃上げ・基本料等の引き上げです。 賃上げに向けた評価が新設され、対象職員の給与のベースアップを実施するものです。
計算方法が複雑であるからなのか、厚生労働省のサイトにベースアップ評価料計算支援ツールが設置されています。
このベースアップ評価料については、算定した場合、診療明細書に記載されることになると思いますが、元々ベースアップしている診療所では算定しないとのことですので、患者が明細書を確認した時にどう感じるのか、患者からの問い合わせに対してどのように対処するか想定しておく必要があるかもしれません。
診療報酬改定の実施はこれからであり、疑義解釈も4月に入ってから順次公表されることになると思いますので詳細はもう少し先になりますが、4月の「キーマンに訊く」のインタビューでは改定に関する3つのポイントについて、今後の診療所経営の影響も踏まえて詳しくお話をうかがう予定です。