今月の視点:看護師採用コストを大幅に削減する採用・マネジメント術
これまで長年にわたり職員の採用およびマネジメントについての悩みを理事長、院長先生、事務長から耳にしてきました。 とりわけ看護師の一斉退職が発生したときには病床稼働に支障をきたすことから、人材派遣会社や紹介会社へ支払うコストには目をつぶって、とにかく看護師を早急に集めなければならないという場面を目にしたことも1度や2度ではありません。 病床規模にもよりますが、年間で数千万円もの採用コストを払っている病院も少なくないのではないでしょうか。
それを裏付けるデータとして、福祉医療機構・全日本病院協会・日本医療法人協会が2020年10月5日に公表した「『病院の人材紹介手数料』に関するアンケート」調査結果をみてみますと、看護師の紹介料の平均額は76万円、准看護師でも約
68万円です。 しかも人材紹介会社ルートで採用した医療従事者の離職率は高く、1年以内の看護師の離職率は20.3%、准看護師は41.5%です。看護師は5年、准看護師は2年半で全員が入れ替わってしまう計算です。
このまま人材派遣会社や紹介会社に頼るだけでは、新規採用を止めることができず根本的な解決にはならないことは明白です。 しかし他に何か良い方策でもあるのだろうか?と長年にわたってもやもやしたものを私自身抱いていました。
そこで今回は「キーマンに訊く」9月号、10月号の2回にわたって「看護師の立場からお伝えしたい 採用コストが削減できる! 看護師の採用・マネジメント実践法」と題し、ジョイン-ハンズ株式会社 輿石 光希(こしいし みゆき)代表に、人材派遣、紹介会社に頼ることなく看護人材を確保できる方法はないかという視点でお話をうかがうことができました。
輿石代表は、看護師として大学病院、国公立病院、民間病院、クリニックと30年以上現場に携わり、現在は、病医院向けのコンサルティング、看護師の教育・研修、セミナーなど幅広く活躍されています。
その輿石代表とのインタビューでは、経営者、事務長にぜひ知っておいていただきたい内容をピックアップして、看護師の特徴、採用ノウハウ、採用面接のポイント、マネジメント術について詳しくうかがうことが出来ました。
インタビューでは目からうろこのお話も多かったので、その一部をご紹介しますと
☑ 看護師の裏情報共有の現状
☑ 有効な看護師募集の方法
☑ 面接で看護師の本音を導き出す方法
☑ 看護師を味方につけるには
☑ 看護師からの要望をうまくかわす方法
☑ 管理者選びでやってはいけないこと
☑ 看護師の裏ボスを見極める
など、どれも知っておくと、実際の採用やマネジメントで使えるものばかりです。
ふだんは理事長、院長先生など経営者の立場から話を聞くばかりでしたので、看護師の立場からの視点で聞くことができ、看護師の考え方について理解を深めることができました。 離職防止やマネジメントは看護師の要望を何でも聞くことではなく、かといって敵対してしまっては業務に支障をきたすだけです。 病医院側が看護師の考え方を理解し適切な対応をとることで、むやみに人材紹介・派遣会社に頼らずに済む手法もあると納得できたインタビューでした。
なお、輿石代表は「ナースのトリセツ」(木村情報技術書店)を出版されており、本でも詳しく解説していますので、ご興味あればご一読することをお薦めします。