発行元:株式会社医療経営
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今月のトピックス
サバイバル時代に突入する医療業界に勝つ

池田 宣康

今月の視点:定額積み立て投資の威力 新NISA、確定拠出年金による資産形成術

2024年から新NISAがスタートします。運用益の非課税期間が5年から無制限、投資枠が年間360万円に拡大、総額1800万円まで運用できるようになり、投資する側にとって非常にメリットの大きい制度改正となりました。

 

またイデコは個人型確定拠出年金であり、NISAと同様に運用するもので、自分年金のための設けられた制度ですが、医療法人化されていれば、個人型であるイデコではなく企業型の1つである選択制確定拠出年金を導入することもできます。これは、理事、職員が給与の一部を確定拠出年金に拠出する制度で、拠出については理事、職員自身の判断で決定できます。月額55,000円まで積立てすることができますので、40歳からスタートした場合、60歳までに55,000円x12か月x20年=1320万円の積立が可能です。 しかも所得税、住民税の控除対象となるのでこちらもメリットは大きいです。

 

新NISA、確定拠出年金を活用することで、運用益の非課税や税金控除などメリットを享受しながら、合計3000万円を超える運用が可能となったわけです。
ここで、効果的に資産形成するために意識しておくべき3つのポイントについて、私見ながらお伝えしたいと思います。

 

1つめは、定額積み立て投資に徹することです。ある程度の資金ができてから投資したいという方がおられますが、まとまった資金を投入した直後に暴落して大きな損失を被っている場面をこれまでたくさん見てきました。しかし、定額積み立てであれば暴落場面でも一定額を購入し、価格が戻ってきたときにはトータルで利益が出ているものです。

 

また心理的な問題もあります。 まとまったお金を投資すると少しの価格変動でも気になって仕事が手につかなくなることがあるかもしれませんが、定額投資であれば暴落しても暴騰してもあまり気になりません。

 

2つめは、長期運用することです。確定拠出年金は60歳まで引き出すことができないことがデメリットと言う場合もありますが、長期運用せざるを得ないのは逆に大きなメリットになると私は考えています。

 

運用会社のフィデリティによると、2003年から2013年の調査で投資の成績が良かった人の属性の11位は「亡くなった人」、22位は「運用しているのを忘れている人」だったそうです。長期運用するほどに複利効果で利益が大きく膨らんでいることの証左です。

 

3つ目は、インデックスファンドへの投資です。日経平均やS&P500のような、特定の指数に連動するよう設計された商品をインデックスファンド、特定の指数を上回る運用成績を目指す商品がアクティブファンドです。

 

一般的にアクティブファンドは、インデックスファンドと比較して手数料が高く、また実際の運用でアクティブファンドの約80%はインデックスファンドに勝てないという事実もあります。 10年ほど前になりますが、1500億円規模の運用をしている海外在住のファンドマネージャーの方は、「いかにインデックスに負けないようにするか、日々必死に努力している」とのことでした。 このことからもアクティブファンドでの運用の難しさが理解できます。

 

非常に退屈な投資手法になりますが「インデックスファンドで定額積み立て投資をコツコツと長期で行うこと」これがファイナンシャルプランナーとして20年の経験から、資産形成への一番の近道であるという結論です。