発行元:株式会社医療経営
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今月のトピックス
サバイバル時代に突入する医療業界に勝つ

池田 宣康

今月の視点:ホスピス住宅運営、中小規模病院の新たな収益源となる可能性

在宅医療の領域で活動している中小規模病院には、新たな収益源としてホスピス住宅の運営に携わる可能性はないだろうか。患者や親族の安心や利便性を提供できるだけでなく、病院にとって新たなビジネスモデルとしても期待できる選択かもしれません。

 

「人生の最終段階における医療・ケアの普及・啓発の在り方に関する報告書」(平成30年3月厚労省)によると、治る見込みがない病気になった場合、どこで最期を迎えたいかについて、「自宅」が54.6%と最も多く、次いで「病院などの医療施設」が27.7%となっています。このデータは、患者の望むケアの実現に向けた新たなモデルの必要性を示しています。

 

人生の最期まで自宅で過ごせるような地域包括ケアシステムの整備が進められていますが、「病院完結型」から「地域完結型」への転換が始まっている中で、地域の在宅医療・介護の基盤を充実させることが課題となっています。その一環として、ホスピス住宅の運営が視野に入ってきます。

 

ホスピスとは一般的に、入院期間が1カ月程度までの主にがん患者を対象にした緩和ケア病棟を指すものですが、ホスピス住宅はそれを拡大した形と言えます。末期がんや難病など医療依存度の高い方を入居者の対象として受け入れ、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に看護師や医師の訪問サービスを提供し、医療診療報酬が主な収入となる形態です。

 

このビジネスモデルは、看護師を多く採用するため人件費は高くなりますが、それでも利益率20%程度が可能とされています。そのため、在宅医療に取り組まれている病院からすると、ホスピス住宅の運営は比較的取り組みやすいのではないでしょうか。

 

霞ヶ関キャピタル株式会社ヘルスケア事業企画室長の細見真司氏に話を伺ったところ、ホスピス住宅をビジネスモデルとしている上場会社が2社あり、それぞれ病院領域と介護領域にポジショニングが分かれているとのこと。特に病院領域をポジショニングしている会社は、有料老人ホームに訪問看護、訪問介護事業所を併設し、在宅医師と連携しています。

 

この形態を取り入れれば、すでに在宅医療に取り組んでいる病院は自院の機能を活用し、ホスピス住宅の運営にも乗り出せるのではないかと感じます。そして、その運営は病院の新たな収益源となり得ます。

 

ただし、ホスピス住宅運営を検討する際には、地域の終末期の潜在患者数、そして土地、建物の調達方法が重要な要素となります。土地、建物については、霞が関キャピタルのような不動産投資会社、または地元の地主に土地、建物を提供してもらい、病院側は賃料だけ払って運営を担うことで、リスクも低減できると考えられます。

 

ホスピス住宅の運営は、患者の在宅での最期の願いを叶えるだけでなく、病院の新たな収益源となる可能性を秘めています。こうした新たな取り組みは、病院経営の安定化にもつながることにもなり得ます。

また、地域社会への貢献という観点からも、ホスピス住宅の運営は価値ある試みとなります。 この可能性について、一度検討してみてはいかがでしょうか。