発行元:株式会社医療経営
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今月のトピックス
サバイバル時代に突入する医療業界に勝つ

池田 宣康

今月の視点:スタッフ教育の重要性と効果を継続させる唯一のポイント

人手不足が続くなか、採用するための給与水準が上昇を続けています。

しかも給与のアップだけで職場に定着するとは限らす、せっかく採用しても自分の考えと違う職場と分かった途端、躊躇なく辞めてしまう人も珍しくない時代となりました。

 

辞めてしまうスタッフ側にも問題があるかもしれませんが、組織と個人の関係がこれまでのように、みなが努力・我慢をしてどれだけ優秀になれるかという「標準化の時代」から自分を大切にする「個の時代」へ移行していることと無関係でないように思われます。

 

米国にはコミュニケーション能力や自分の強みを見つけるいくつもの有名なプログラム、講座、セミナーが存在しますが、移民の国といわれるほど、多種多様な人種で成り立っている多民族国家であることから、十人十色の考え方や習慣をもつ職員を1つの組織としてまとめるにはトレーニングが必須なのでしょう。

 

日本特有の「阿吽の呼吸」や「以心伝心」は非常に重要な能力ですが、日本人も考え方が多様化してきたことを目の当たりにすると、自院の戦力として長く勤めてもらうスタッフになってもらうためには、ノウハウが蓄積され日本企業にも導入されている米国のプログラムを取り入れるメリットは大きいと考えます。

 

今回の「キーマンに訊く」では、世界で50年以上の歴史があり、2,500万人が実践している「ストレングスファインダー」について、株式会社ストレングスアスリードの代表 山田 祐介様にご説明いただきました。「ストレングスファインダー」とは、自分の強みの素になる“才能”を見つけ、成果につなげる手法です。

 

ここでいう“才能”とは、特別な能力のことを指すのではなく、普段から苦も無く自然に繰り返しているパターンのことと定義し、それを177個の質問を通してスタッフ個々の才能を見える化し組織のパフォーマンスを向上させるための新たなアプローチ法です。

 

経営者からすれば、職員には得意なことに集中してもらった方が、組織全体としての効率が格段に上がるのは間違いないところです。この手法では得意、不得意分野を数値として可視化することで、個々人の強みを認識できるため適材適所の人員配置が可能です。

 

ただこのような教育プログラムはかけた時間と経費に見合った効果を得なければなりませんが、これまで私が見聞きした限り、劇的に効果が上がった事例を見たことはほとんどありません。

 

なぜでしょうか? 先日あるクリニックの経営コンサルタントからお聞きしたのは「スタッフ教育を施して非常に効果はあったが、2週間ほどで元に戻ってしまう」とのことでした。

 

「継続は力なり」という言葉がありますが、スタッフ教育で最も効果を発揮させる唯一のポイントは、一過性の効果を高めることではなく、すぐに効果を発揮できなくとも地道にコツコツと進めていく“継続性”に尽きると思いながらお聞きしたインタビューでした。