のぶきよ耳鼻咽喉科クリニック様(神奈川県大和市)
開業すると診療以外の課題が常につきまとうからこそ必要になる
当院は、耳鼻咽喉科を開院し8年になります。
開業前から外来診療のやり方、スタッフ雇用、開業立地の選び方などクリニック運営に関することは何でも吸収し入念に準備したおかげか、開業後から順調に患者さんが増え地域から一定の評価を頂いていると感じていますが、今でもスタッフとの関係作りや近隣に競合医院ができないかなど経営についての不安は尽きません。
月刊医療経営が他の情報誌と違うところは一見すると医療と関係ないトピックにも触れていることですが、他業界にこそ経営に役立つ大きなヒントが隠されていると考える私には大いに参考になります。
例えばボイストレーナーの方のインタビューがありましたが、私は声が抜けてしまう癖があり診療の終わりごろになると声が出なくなるので、興味深く聞くことができました。今後は例えば、行列ができるようなラーメン屋さんのインタビューなど聴けるといいですね。
CDを聴くのはもっぱら自宅からクリニックへ向かう車中です。40分ほどの通勤時間にCDを聴けるので時間を有効に使えて、私にとってはありがたいです。
ニュースレターはコンパクトにまとまっているのですきま時間に目を通すことが多いです。今すぐに役立つ情報もありますが、いずれ役立つだろうと思う情報もあります。 頭に入れておけば自院をもっと良くするためのアイデアが浮かぶのではと考えています。
開業すると診療以外の課題が常につきまといますし、経営はこれから厳しくなってくるはずです。 月刊医療経営でいつも新しい情報に触れておくことが大きく役立つと考えています。
のぶきよ耳鼻咽喉科クリニック
院長 信清 重典
田部田様ご夫婦インタビュー
当社のコンサルティングメニューである『「ブランドクリニック」構築プログラム』を受けようと思ったきっかけは?
理念については作らなければいけないと常々考えていました。痛みを和らげるペインクリニックからスタートして、そこにリハビリ専門職が集い、隣にフィットネスも開業し、患者さんの健康を保てるようなことをもっと提供したいという思いがあって在宅医療も始めることになり、軸が必要だと考えるようになったのがきっかけです。
軸といいますと?
自分の考えていることを短い言葉でわかるようにして、スタッフみんなで同じ方向に向かって進んでいくという軸ですね。
なぜそういう軸が必要だと思ったのでしょうか?
ペインクリニックにきて痛みがなくなると来院しなくなりますが、治った後に再発しないために患者さんとどう関わるかを考えてリハビリ専門職を増やしてきました。さらに保険治療の範囲を超えてもっと患者さんに関われるようにと考えフィットネスを始め、スタッフが増えてきたからです。:なぜそういう軸が必要だと思ったのでしょうか?
先生はなぜ医学部に行こうと決めたのですか?そしてなぜ麻酔科を選んだのでしょうか?
子供の頃から小児喘息を患ったり、高校の時に腕の血管を切って入院した経験があったことからドクターに対する憧れがあり、医学部を志望しました。
そして医学部で6年生の時、どの科にしようかと模索中に偶然ペインクリニックが広がってきている新聞記事を見ました。大学病院ではなくクリニックでも人の痛みをやわらげ満足してもらえるような科があるということを知り、順天堂大学に見学に行きました。そこで教授に出会ってこの人のもとでやっていこうと決めました。
今回奥様がコンサルティングに途中からご一緒に参加されましたが?
私が出会った頃の先生は、自院のあるべき姿を描けてはいるもののスタッフに伝わっていないことに悩んでいたように思います。これから力を合わせてこういう仕事をしていきたいねと二人で話をしていたところ、ちょうど同じ時期に先生が受けていたコンサルティングの話になって、自院の核になる部分をどう表現するか一緒に作ろうと言われました。
当社のコンサルティングでは、私の方からはヒントを出すことはありますが、すべてクライアント様に考えていただいています。 そのことに対してはどう感じていますか?
我々と中心メンバーで事業内容などいろんなことを考えて書き出したり整理をした後でも、コンサルティングを受けるとこれまでと全く違う発想がたくさん出てきました。物事の見方や考え方が狭くなりがちな中で違う視点を提示していただくことで世界を広げることができました。
教えてもらうと、それ以上のものが出てきません。自分で考えたうえで、自分の内にあるものを引き出せると、教えてもらう以上のものが生まれることがわかりました。
実際に組織の理念となる一つの言葉が出来上がりました。それによって変わったことはありますか?
まだ全員の意思統一はできていないかもしれませんが、理念として創り上げた1つの言葉に沿ってみんな行動していると感じています。自院の理念に賛同できない人は少しずつ組織から離れてしまう一方で、賛同してくれたスタッフたちはこのクリニックで何かできることはないかと考えてくれるようになりました。
これまでやりたいことはぼんやりとわかっていたつもりでしたが、理念ができたことによって強い軸ができました。
スタッフのみなさんは仕事に対する姿勢が変わりましたか?
全員というわけではないですけれど、変わってきたスタッフもいます。
1つの作業をする際もこれはやっていいことなのかやってはいけないことなのか医療従事者ならではの悩みがあります。そういう場面でも理念があると、ダメなこともありますけど患者さんのためにやってあげたいと想うスタッフが増えてきたような感じはします。
理念について大きく掲載しているわけではありませんが、求人を出した時「理念が素晴らしいです。ここで働きたいです」という人が応募してくるようになりました。
こちら側に採用したい人物像があると、派遣会社さんからの採用よりも、こちらの希望通りの人が直接応募してくれる感触があります。 そしてこれまでの面談では応募した方の技術や外見しかわかりませんでしたが、今では理念という軸を通して人を見ることができるようになりました。また私たちが行っている事、一緒にやっていきたいことを採用の段階で明確に伝えることができるようになりました。
貴院の理念を教えていただけますか?
「100年の甲斐を共に創る」です。もともと100という数字が大好きで目標を立てる時にまず100ということに喜びを感じていて、100日連続でこれをやるぞとか、100に対するこだわりがすごくあります。
やり甲斐とか生き甲斐とかその人の甲斐ってその人じゃなきゃわからないから、その人が自分の命を100年間しっかり楽しめるように私たちができるサポートをしていきたいというのが理念です。
素晴らしい言葉ができましたね。
ちなみに父の会社も100年ですし、法人が100年続くという意味もあります。スタッフにも働きがいを持ってやってもらいたいということも含まれています。
つまり100年続くということは次世代にバトンタッチすることも考えているのですね。共に創るというのはスタッフみんなで創っていくのですか?
そうです。 100年続くという理念をもとに法人のあるべき姿について考えた時、働くことに安心感がある法人であるべきだと思いました。そこで、たとえば出産前後でも安心して働けるように就業規則を整備しているところです。
また、3C、つまりコーポレーション、コネクション、コンフォータブルという行動指針もできました。 私もクリニックで働き始めた時は、先生ともぶつかったりしましたが、今は行動指針をもとに考え行動できるようになってきました。
私自身は、特にスタッフのやりがいを見出すのは難しいなと感じていましたが、理念ができたおかげでこれをやり遂げるぞっていう気持ちが湧いてきて、難しい課題でもどうすればやりがいを持ってイキイキと働く空間になるだろうと常に考えるようになりました。事業展開も今年の目標に焦点を合わせるのではなく100年後にはこうなっていたい、それでは3年後、5年後はどうすべきだろう、ともっと広い視点で考えられるようになりました。
ということは、田部田先生ご自身がどう行動していくかべきかを考える上での信念と言えるような軸ができたということですね?
そうですね、自分自身のやりがいにもなっています。
今は不思議と人が動く気配がします。退職する人もいるので、そこだけ捉えると悪いことのように思われますが、理念をもとにこの先のことや組織のことを考えるようになったのでそれも良かったというか、今はそれほどマイナスに捉えていません。
ここに集う人の空間ができてきたのでしょうか?
そう思います。今度来ていただく看護師さんもたまたま研修で私が半年前に出会った素晴らしい看護師さんでした。うちに来てくれたらいいのにと思っていたら本当に来てくれることになりました。そういう現象がおきるのもやっぱり理念を創ったおかげかなって思いました。
1つの言葉が人を惹きつけるようになったのですね。
そこはすごく感じますね、理念ができたことで、うちに合う人が直接入社しなくてもそういう人と触れ合う機会が増えましたね。
今後の課題は、先生の意思を中心メンバーがしっかり理解した上で、スタッフ全員にも伝えてくことと考えています。今は先生が細かいことまで関わっていますが、これからは私たちに任せてもらって先生にはもっと広い視野で仕事をしてもらうことが理想です。
今日は本当に素晴らしいお話をありがとうございました。