発行元:株式会社医療経営
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今月のトピックス
サバイバル時代に突入する医療業界に勝つ

池田 宣康

今月の視点:院長自らスタッフの立場を理解しようとしていますか?

組織である限りそこは様々な考え方を持った人間の集まりです。スムーズに仕事を遂行できる組織にまとめ上げるには苦労を伴うことも多いと思います。 与えた仕事のやり方に問題があったり組織のまとまりに悪影響を及ぼすスタッフがいれば何らかの手を打たなければなりません。 退職してもらうことで解決することもあるでしょう。 しかし度々スタッフが入れ替わり自院に定着していない場合、問題解決のポイントはスタッフの入れ替えではない可能性があります。

 

前述したように自院の方針に合わない人が入職した場合は退職してもらうことも致し方ありませんが、戦力になるスタッフを一時の意見の食い違いで退職させてしまっては自院にとって大きな損失です。 もしそのような経験に心当たりがあれば、その解決策について『再現性のある「タイプ別コミュニケーション術」を習得する!』と題した今月の大﨑氏とのインタビュー冒頭の話がヒントになるかもしれません。

 

大﨑氏が社会的役割や生活様式を通じて形成される社会的性格という概念をもとにしたコミュニケーション術に興味を抱いたキッカケは、当時小学生のお嬢さんから友達ができないという相談を受けたことでした。 当初、ご自身の経験をもとにアドバイスしても友達ができず困っていたとの事でしたが、お嬢さんの社会的性格を分析してみると自分とはまったく別の性格であることが分かり、アドバイスの内容を変えたところ友達ができるようになったそうです。

 

その話を聞き小学生の子供であっても自分とは別の性格を持つ一人の人間であり、親とは違う物の考え方、視点を持っているということを今更ながら気付かされました。 例えば、親は「自分ができたのだから子供にもできる」と自分の立場から子供を見てしまうことはないでしょうか。 そのような見方をいったん横に置き、子供の立場に立って考えてみると、子供がどのような性格でどんな思考をするのか、新たな気付きがあるかもしれません。

 

病医院内での人間関係も似ているように思います。組織内でスタッフから不平や不満などの発言が出るのはやむをえません。 そんな時、感情的になって自分の立場から発言する前にそのスタッフの立場に立って冷静に考えてみると真意を把握できる場面が少なからずあるはずです。親子と同じように病医院では院長がスタッフより強い立場にいるからこそ、院長が自らスタッフの立場に立ってみることは重要なポイントだと考えます。

 

人間は誰でも本能的に自分中心に物事を考える習慣があります。 だからこそ「相手の立場に立って物事を考える」ということを常に心がけることで、スタッフがなぜそのような発言や態度をとるのか隠された理由や解決へのヒントが見えてくるはずです。  そのことを理解した上で経営者としてどう決断すべきか、ということを継続すれば素晴らしい組織に向かって進んでいくのではないでしょうか。