発行元:株式会社医療経営
TEL

今月のトピックス
サバイバル時代に突入する医療業界に勝つ

池田 宣康

今月の視点:自院の繁栄の鍵を握る「細部へのこだわり」

自院の繁栄を判断できるバロメータの1つとして、継続的に医業利益が積みあがり、併せて勤務医時代と比較して高額な役員報酬を得ることが挙げられます。 しかし、せっかく得た報酬も様々な投資によって資産が思ったように増えていない、または資産形成ができていない方もいるのではないでしょうか

 

そこで今月の「キーマンに訊く」では、投資に興味のある先生方に向けて「専業投資家に訊く! 資産を増やすための原理原則」と題し、40代前半で専業投資家となった天間(てんま)友弘さんに、通常ネット上やマスコミなどに出てくる必要性がないにもかかわらず、今回快くインタビューを引受けていただきました。

 

今回のインタビューで投資について参考になることはいくつもありましたが、その中でも特に印象に残ったことが天間さんの細部への徹底的なこだわりです。投資について自分もすでに勉強して知っていることも多々ありました。しかし天間さんのように素晴らしい実績をあげているわけではありません。この違いは何だろうかと考えてみると、細部へのこだわりが時間の経過とともに天と地ほどの差が出る要因だと気付いたのです。

 

例えば投資をすると言っても実に様々なものが商品化されています。投資信託1つ取り上げても、世界中で数千種類の商品があります。また為替、株、債権、金、不動産、さらに最近は仮想通貨などの分野があり、個々の分野には数限りなく商品が存在しています。 その一つ一つを吟味し、調べ、そして実際に投資をして経験を積み、数多くの失敗を経て、投資効果の高い商品であると確信を得たものだけ続けるというとても手間のかかる作業です。

 

このように天間さんはただ知っているだけでなく、それを実際に投資するにあたりご自身が納得するまで細部にわたり徹底的に調べてから、実践し、結果を検証し、その投資を継続するまたは撤退することを繰り返しています。

 

またインタビュー後になりますが、全国のどの書店でも扱っている資産形成のためのベストセラー本を天間さんは極めて有益な図書として推薦していました。 すでに読んでいる先生も多いと思います。 しかし重要な点はこの本をただ読むことではないようです。 天間さんが強調していたのが、この本を何度読んだかということです。 天馬さんは、すでに数十回この本を読んだそうですが、自分の脳裏に知識を染みこませ無意識に行動できるまで読み込むのでしょう。 このような細かいことへのこだわり度合いが後に圧倒的な実績の差を生むと感じました。

 

病医院経営も、どれだけ細部へこだわるかによって自院の繁栄が決まるのではないでしょうか。常に最新の診療技術や行政の情報を自ら日々取得し、自院に取り入れるべきものであるかどうか吟味し、医療制度の方向性から自院への影響がありそうな情報を精査し、手を打つべきものは実行していかなければ衰退していくだけです。 患者接遇においては、自院に最も効果的なセミナーやトレーニングなどを徹底的に調べ、自院のスタッフとともに勉強し、そして仮にうまくいかないことがあったとしてもそこから改善しさらに実践を積み重ねることで、自院に最適の方法を発見できると思います。このように経営に関するあらゆることに、経営者自ら徹底的に研究し検証し実践して、ノウハウを蓄積していく必要があります。

 

それが気づかない間に自院が高い経営レベルにまで到達することになるのではないでしょうか。 同じことを知っていても、それを大雑把に理解しているだけなのか、そこから徹底的に研究し実践することによって時間の経過とともに、他院がとても追いつけないほどの実績結果として表れるのは間違いないところです。

 

特に開業してから5年から10年経過すると経営が安定しホッと一息できる時期です。 しかし順調に思えても、自分の見るチェック機能が荒くなっている可能性があり、思わぬ落とし穴が待ち受けていることがあります。「神は細部に宿る」という言葉がありますが、今一度、頭の中をリセットし、細部へのこだわりを意識してみてはいかがでしょうか。