発行元:株式会社医療経営
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今月のトピックス
サバイバル時代に突入する医療業界に勝つ

池田 宣康

今月の視点:経営判断に活用する九星気学

九星気学をご存知でしょうか?

万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるという古代中国に端を発する自然哲学の思想である五行説、180年を一つの周期としているこれも古代中国から伝わる九星術、それに干支を組み合わせ、明治42年に園田真次郎がこれらを基に気学としてまとめたものを九星気学と呼んでいるようです。生年月日から、生まれ持った性質や年、月、日単位の運勢、凶方位、対人関係や愛情関係の吉凶などを知ることができます。

私はこれまで占い術にはあまり興味を持てませんでしたが、親しくしている税理士の先生が後継者選びのために九星気学の先生の助言を受けたとお聞きして興味が湧き、年初に私もアドバイスを受けてきました。

今回は別のご縁で、九星気学の塾を開いている木村早翔先生と知り合う機会があり7月号の「キーマンに訊く」でお話をうかがうことができました。当初、「生年月日だけで何が分かるのだろう?」という疑念を持っていましたが、数千年も続く最古の統計学といわれ、また長い年月の間に絶え間なく改善され進化している奥深い学問であるとお聞きすると非常に説得力があります。

この学問を活用している例として、奈良時代の京都、平安京の建立に影響を与えていることや、徳川家康が側近の天海僧正の気学を基に江戸城の開府や江戸幕府の朝廷政策、宗教政策に活用していたと言われています。 また現在でも、有名政治家や超有名スポーツ選手など大成功をおさめている人にもこの九星気学を活用している人が多いようです。

人はみな明確な答えを知りたがります。 特に科学が発達し論理的で明確な答えを得ることが当たり前となった現代では尚更、非科学的なものに興味を向けることが少なくなっているように感じています。

そんな時代でもなぜこのような学問を活用している方がいるかというのを考えてみると、先ほど挙げた政治家やスポーツ選手など先の見えない職業だからこそではないかと推測できます。 政治の世界は「一瞬先は闇」とはよく言われますし、サッカー選手が試合で必ずゴールできるとは限りません。 つまり不確定要素の占める割合が大きい世界で活躍している人が活用しているという特徴があります。 会社経営も同様であることを考えると、木村早翔先生のところに多くの経営者が相談に来ていることも納得できます。

翻って、これまで比較的堅実な経営を行うことができた病医院においてはいかがでしょうか。 先日のニュースでも取り上げられましたが、年間50万人近くの人口減少が進む中、病院や診療所を取り巻く環境が変貌し自院の舵取りが難しい時代になっていることはご存知の通りです。 病院は地域住民に必要な医療を提供するための改革が必要であり、診療所は競合医院の増加で患者の奪い合いが始まっている地域が増えてきました。

病院ではどのような機能を持たせるか、それに合わせた大幅な人員増や高価な医療機器の導入が必要な場合もあります。 診療所では安定した来院患者の対策として移転することがあるかもしれません。そのような自院にとって経営を左右するような決断が必要な時、どれだけ綿密な計画を立てても確実に成功するとは限りません。 そのような確実性のないことに院長が決断しなければならない場面で今回紹介した九星気学が判断材料の1つになる可能性について知っておくことは良いと思います。

ただし、占い術によって導き出された結果に一喜一憂するのではありません。あくまで先生自身の努力や心がけで自院が良い方向に進むための1つの指針であると認識して行動すれば自ずと良い結果も導き出せると思います。