発行元:株式会社医療経営
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今月のトピックス
サバイバル時代に突入する医療業界に勝つ

池田 宣康

情報収集力と処理能力の向上が求められる時代へ│2018年3月

 

情報収集力と処理能力の向上が求められる時代へ

 

今月は、間近にせまった診療報酬改定の概要についてのインタビューでした。

インタビューに先立ち、医療総研の伊藤社長が取り纏めた診療報酬改定関連の資料を、何度も繰り返し見ていると、厚労省が考える医療制度改革の流れ、新設点数が意味するもの、個別改定項目の意図など今後何が起こるのかが改めて浮き彫りになってきます。

 

ここで医療機関が、診療報酬改定情報以外にも時間と経費を費やして普段から情報収集する必要性について考えてみましょう。

確かに、医療機関は国民の健康を維持するために守られてきた業界であり、入院患者の受け入れ、外来患者の診察だけで経営が成り立つ時代が長く続いてきました。 しかし、厚労省がターゲットとして掲げる2025年に向けて病床削減、在宅移行へと舵を切る中、病医院の在り方が大きな転換期を迎えていることはご存知の通りです。

 

公表されているデータから見てもわかるとおり、病院は病床数が減少し続け、他方、診療所は増加が続いています。 病院は地域住民に合わせて自院の機能を整えなければ必要とされなくなり、医院は近隣の競合医院との差別化を図り来院患者を維持しなければ勝ち残れなくなったのです。

そのためには、普段から自院、医療業界、さらに介護業界、経営に関連する情報にアンテナを張り、その情報をもとに常に先手を打つ必要があると考えます。

 

情報は一次情報、二次情報に分けられます。一次情報は「加工されていない情報」、二次情報は「第三者に加工されている情報」です。 例として統計データは一次情報であり、それを基に誰かの意見が加えられていれば二次情報となります。

 

誰かの意見が付加されている二次情報は非常に分かりやすいですが、意図をもって何かに誘導されている可能性もあります。 一方、一次情報は、その情報から何が起きているのか、これから何が起きるのかなどを読み解くには時間がかかるかもしれませんが、慣れてしまえばご自身の理解も深まっていくでしょう。

 

情報を得る際も、受け身の情報だけでは断片的になりがちで、判断を間違うリスクが高くなります。 そのリスクを避けるためにも自ら能動的に広範な情報を取得することがポイントとなりますが、膨大な情報から有益な情報を取り出す処理能力の向上も合わせて求められるようになっています。

 

医療機関において様々な角度から総合的な判断を下すのは経営者である理事長、院長先生です。

経営上、目先の点数も重要ですが、それだけに目を奪われるのではなく、大きな流れを掴むことができれば自院の進むべき方向性を迷うことはありません。 経営者として大局的に物事を判断できるようにするためには、情報収集力と処理能力の向上が不可欠です。