発行元:株式会社医療経営
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今月のトピックス
サバイバル時代に突入する医療業界に勝つ

池田 宣康

今月の視点:経営者が抱えるストレスに対処する方法は?

ストレスとは、悩みごと、心配事、苛立ち、プレッシャーなどから引き起こされる精神的・肉体的重圧を指すものですが、特に経営者は精神的重圧を起因としたストレスはつきものです。 勤務医時代と比較して大きなストレスを抱えることはしばしば起きると思います。 経営者は診療に限らずあらゆること全てが自分の責任です。 職員の新規雇用や離職、患者対応、院内トラブル、資金繰り等々、ストレスの原因になることは多くかつ多岐にわたり、しかも同時に発生することもよくあることです。 このように次々と降りかかるストレスに対処する方法はあるのでしょうか。

環境を変えるのは1つの方法でしょう。 旅行に行くなどして非日常空間に身を置くことで心身ともにリフレッシュされストレス軽減につながることもあると思います。 しかし、ストレスがあまりにも大きくなり自分の許容範囲を超えてくるとどうでしょうか?  私事ですが、環境を変えるなどいろいろと試みてもストレスが全く解消されない状態が続いていました。 清々しい青空が広がる天気であれば心も晴れやかになるものですが、頭の中はストレスで占められ、青空が目に入ってくることもない状況で、抱えているストレスが非常に大きくなっていることを感じていたのです。

ストレス原因の内容はさておき、このような状況の中、実は思わぬ機会にストレスが気にならなくなる体験ができました。それが、ボイストレーナーの先生へのインタビューの合間に受けたボイストレーニングの時でした。トレーナーの先生と二人だけとは言っても、人前で大きな声で発声練習するのは恥ずかしさもあります。 しかし先生は私を上手くのせてポジティブに次々と発声の繰り返しを促します。 そのうちしだいに集中が増し突然、箍(タガ)が外れたように没頭している自分がいたのです。トレーニングはわずか30分ほどでしたが、自分の置かれた外部環境は全く変わっていないにも関わらず、その日からストレスをそれほど気にせず過ごせるようになりました。

なぜストレスを気にしない状況を作れたのか、あらためて考えてみると、没頭するほどに高い集中力を発揮できたことが要因ではないかと思います。 それからは、過去を悔いたり、起きてもいない将来を心配することなく、今にだけにフォーカスし、1つ1つストレスの原因となる課題を解決していくことだけに集中できるようになりました。

誰もストレスから逃れることはできませんし、逃げようとしてもストレスはさらに大きくなるばかりで一向に解決しません。 しかし今回の体験は、どんなに大きなストレスを抱えても、自分の心の姿勢を変えるだけでうまく対処できる技法があると新しい発見ができました。

みなさんはストレスとどのように付き合っているでしょうか?